もん吉実が屋根の高さにしかならない柚子、どこまで切っていい?
この記事では、大きくなった柚子の剪定でバッサリ切ってよいかと、高さを下げる進め方を解説します。
庭先で6〜8mに育ったユズの木も、岩手県の試験では一度に切らず、年1m程度ずつ低くする方法がとられました。
- 一度に大きく切る強剪定は避けたい
- 高さは年1m程度ずつ下げる(岩手県の試験)
- 切り方は、主枝の切り下げと混んだ枝の間引き
- 夏以降(7〜8月ごろ)は徒長枝を取る程度まで
- 脚立が届かない柚子は、庭木1本から相談できて高い所の作業にも対応している伐採110番に問い合わせ
山口県の栽培指針は、せん定の量が過度になると樹勢(じゅせい:木の勢い)が低下すると注意しています。
岩手県の試験でも、6.4mの木が4.1mになるまでに3年かけており、低くするには時間がかかるのが前提です。
今の高さでは実に手が届かない柚子がある人は、伐採110番に、剪定を頼めるかを問い合わせて確かめられます(調査・見積もりに費用がかかる場合は先に確認)。
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案内・リンク確認日:2026年10月3日
柚子はバッサリ剪定していい?高さは年1mずつ下げる


山口県は切る量が過度だと木の勢いが落ちると注意しており、少しずつ下げた岩手県の試験では、3年で2.3m低くなりました。
切る量が多すぎると、柚子の木の勢いが落ちやすい
太い枝まで深く切り詰める剪定(せんてい:枝を切って木の形や大きさを整えること)が、強剪定(きょうせんてい)です。
山口県の香酸柑きつ(長門ゆずきち・ゆず)の栽培指針は、せん定量が過度になると樹勢が低下すると書いています。
岩手県農業研究センターの試験も、強せん定を避けるために、高さを年1m程度ずつ段階的に下げる方法をとりました。
| 資料 | 切る量・強さについての記述 |
| 山口県の栽培指針 | せん定量が過度になると樹勢が低下する |
|---|---|
| 岩手県農業 研究センター (2016年度) |
強せん定を避けるため、樹高は年1m程度を目安に段階的に下げる |
どちらも柚子を対象にした資料で、山口県は切る量が過度になること、岩手県は強せん定に注意を向けています。
「バッサリ切ると枯れる」とまでは、どちらの資料も書いていません。山口県が注意しているのは樹勢の低下で、岩手県は強せん定そのものを避けています。一度に切った柚子がその後どうなるかを確かめた資料ではないため、枯れるとも大丈夫とも言い切れないのが正直なところです。
岩手の試験では、6.4mの柚子を4.1mまで下げた
陸前高田市(岩手県)では、民家の庭先にあるユズの木の多くが、手入れされないまま6〜8mの高さに育っていました。
岩手県農業研究センターの試験は、こうした木を少しずつ低くして、実のつく位置を下げることをねらったもの。
同センターが研究代表機関としてまとめた2018年のマニュアルにある、下げ方の目安がこちら。
強せん定を避けるため、樹高は年1m程度を目安に段階的に低下させ、目標樹高は3~4mとします。
出典:岩手県農業研究センターほか「ユズの加工利用を促進する安定生産技術とブランド新商品の開発マニュアル」(2018年2月)
2016年度(平成28年度)の成果書には、樹形を改善した木と、切らなかった木の樹高の記録が載っています。
| 年度 | 樹形を改善した木 | 切らなかった木 |
| 平成25年度 | 6.4m(せん定前) | 6.3m |
|---|---|---|
| 平成26年度 | 5.1m | 6.6m |
| 平成27年度 | 4.4m | 6.7m |
| 平成28年度 | 4.1m | 6.7m |
一度に切らなくても、せん定前の6.4mから3年で2.3m低くなった計算です。
ただし表の数字は陸前高田市の試験の記録(成果書に樹の本数の記載はありません)で、どの地域の柚子でも同じように下がるとは限りません。
低くした柚子は、実が手の届く高さにつく
低くしたあとの変化として成果書が挙げているのは、実のつく位置が下がり、ほぼ全量を収穫できるようになったことです。
もとの木は高すぎて、収穫できる実が限られていました。
表1には、手が届かないなどの理由で取れなかった実の数(概数)も、年度ごとに載っています。
| 年度 | 樹形を改善した木 | 切らなかった木 |
| 平成25年度 | 0個 | 15個 |
|---|---|---|
| 平成26年度 | 126個 | 65個 |
| 平成27年度 | 7個 | 150個 |
| 平成28年度 | 0個 | 50個 |
平成26年度は樹形を改善した木でも126個が取れておらず、毎年0個だったわけではありません。
収穫の効率(10kgあたりの収穫時間)も、せん定前と比べて1〜3割よくなったという結果でした。
実が低い所につけば、収穫で脚立を使う場面も減るはず。ただし成果書に脚立の記述はなく、数字は陸前高田市の試験樹のもので、収穫量まで約束するものではありません。実の量の変わり方は柚子の実が減ったのは、バッサリ剪定のせいとは限らないで触れています。
柚子を低くする剪定は、主枝の切り下げと間引きで進める


岩手県の試験の切り方は、背の高い主枝を下げる作業と、混んだ枝を抜く作業の組み合わせです。
主枝の切り下げで、高く伸びた太い枝の背を下げる
主枝(しゅし)は、幹から出て木の骨組みになる太い枝のこと。
切り下げは、高く伸びた主枝を低い位置で切って、木の背そのものを下げる作業です。
岩手県農業研究センターの成果書は、樹形を直す方法を次のようにまとめています。
樹形改善は主枝の切り下げと、枝が混み合っている部分の間引きせん定を行い、樹冠内に光が入るよう開心形に近づける。
出典:岩手県農業研究センター「ユズ既存樹のせん定による樹形改善が収量および収穫効率に与える影響」(平成28年度試験研究成果書)
樹冠(じゅかん)は、枝葉が茂っている部分全体を指す言葉。
| 作業 | ねらい | 成果書の記述 |
| 主枝の切り下げ | 木の背を下げる | 樹高は年1m程度を目安に段階的に低下 |
|---|---|---|
| 間引きせん定 | 内側に日を入れる | 枝が混み合っている部分を間引く |
切る枝の位置や本数は木の形ごとに変わるため、この記事では1年に下げる幅の目安までにとどめます。
樹種が違えば切り方の考え方も変わり、松については松の剪定でバッサリ切ってよいかと代わりの切り方で別に整理しました。
間引きで混んだ枝を抜き、木の内側まで日を入れる
間引きせん定は、混んだ所の枝を抜いて数を減らす切り方です。
試験の前の陸前高田市の木は、高すぎるうえに枝が混み合い、木の中まで日が入りにくくなっていました。
そのため収穫できる実が限られ、収量も低かったというのが成果書の説明。
バッサリ切って枝の量を一気に減らすより、混んだ所の枝を抜いて減らすほうが、成果書の切り方に近い進め方です。成果書の図には「内向枝や枝が混み合っている部分を間引きせん定」とあり、木の内側へ向かって伸びる枝が目印になります。
山口県の作業暦では、間引きせん定は実が少なそうな年に使う切り方のひとつ。
目標の高さは3〜4m、真ん中が開いた形に近づける
岩手県の試験が目標にした高さは3〜4mで、木の形は開心形に近づけます。
開心形(かいしんけい)は、真ん中を開けて、内側まで日が入るようにした木の形です。
| 項目 | 岩手県の試験での数字・形 |
| もとの高さ | 6〜8m(庭先の手入れされていない木) |
|---|---|
| 1年に下げる幅 | 年1m程度が目安 |
| 目標の高さ | 3〜4m |
| 目指す形 | 開心形 |
3〜4mは陸前高田市の試験で決めた目標で、全国どこでも同じ基準というわけではありません。
庭の広さや屋根との距離によって、ちょうどよい高さは家ごとに違います。
3〜4mでも上の枝は手が届かない高さなので、作業のしかたは高い枝を脚立で切る作業は、一人でしないも目安にしましょう。
太い枝の切り口には、ゆ合促進剤を塗っておく
主枝を切り下げると、どうしても太い枝に大きな切り口ができます。
その切り口について、岩手県のマニュアル(2018年)の注意書きは次のとおりです。
枯れ込みを防ぐため、大きな切り口には、ゆ合促進剤を塗布する。
出典:岩手県農業研究センターほか「ユズの加工利用を促進する安定生産技術とブランド新商品の開発マニュアル」(2018年2月)
枯れ込み(かれこみ)は、切り口から奥へ枯れが進むこと。
ゆ合促進剤は、切り口がふさがるのを助ける塗り薬です。
徳島県の果樹研究所の資料(2007年)も、病気がひどい主枝を切ったあとは、切り口に癒合剤を塗る手順を示しています。
太い枝を切ったまま、切り口を何もせずに放っておくのは避けましょう。とくに梅雨どきは、切り口から入る病気にも気をつけたい時期です(梅雨どきの6〜7月は、切り口の幹腐病に気をつけたい)。
柚子の剪定の時期は春、寒い地域と暖かい地域で月が違う


柚子を剪定する月は、寒い岩手県の試験では4〜5月、暖かい山口県の栽培指針では2月下旬〜3月下旬と、地域によってずれます。
山口県の2月下旬は冬の終わりにあたるため、春だけでなく冬の終わりから切り始める地域もあるということ。
| 資料 | 剪定の時期 | 書かれている条件 |
| 岩手県農業 研究センター (陸前高田市) |
4〜5月を目処 | 樹の枯れ込みを防ぐため、厳寒期を避ける |
|---|---|---|
| 山口県の栽培指針 | 2月下旬〜3月下旬 | 花が多そうな木から始め、少なそうな木は遅く |
寒い地域の岩手では、真冬を避けて4〜5月
陸前高田市は、寒冷地の岩手県の中でも冬が比較的暖かく、ユズが育つ「北限」とされる地域です。
岩手県のマニュアルによると、この地域のユズは、主産地の高知県と比べて発芽や開花が約1か月遅くなります。
剪定の時期について、成果書の書き方は次のとおりです。
せん定時期は樹の枯れ込みを防ぐため、厳寒期を避け、4~5月を目処に実施する。
出典:岩手県農業研究センター「ユズ既存樹のせん定による樹形改善が収量および収穫効率に与える影響」(平成28年度試験研究成果書)
ポイントは「厳寒期を避ける」という理由で、寒い時期に切ると枯れ込みが心配だから、というわけです。
冬の寒さが厳しい地域に住んでいる人は、真冬のうちに太い枝を切らないことを、まず守りたいところ。
暖かい地域の山口では、2月下旬から3月下旬
山口県の香酸柑きつの栽培指針は、長門ゆずきちとゆずの作業暦の中で、整枝・せん定を3月の作業として載せています。
着花過多予想樹から始め(2月下旬)不作予想樹は遅く(3月下旬)行う。前者は切り返し後者は間引きせん定を主体に行う。いずれもせん定量が過度になると樹勢が低下する。
岩手では4〜5月まで待つのに対し、山口では2月下旬から切り始めることになり、同じ柚子でも地域でこれだけ違います。
岩手と山口の間にある地域の月は、この記事で使った資料には出てきません。
住んでいる地域の気候に近いほうを目安にしつつ、真冬の厳しい寒さを避けることを前提に考えるのが無理のない決め方です。
花が多くつきそうな年は早め、少なそうな年は遅めに
山口県の作業暦は、同じ年でも木の様子によって、切り始める時期と切り方を変えています。
着花過多予想樹は花がたくさんつきそうな木、不作予想樹は実が少なそうな木のことです。
| 木の様子 | 切る時期 | 主な切り方 |
| 花がたくさん つきそうな木 |
早め(2月下旬から) | 切り返し |
|---|---|---|
| 実が 少なそうな木 |
遅め(3月下旬) | 間引きせん定 |
切り返しは、枝の途中で切って短くする切り方。
花の量が年によって変わる背景には柚子の隔年結果があり、柚子は、実の多い年と少ない年をくり返しやすいで取り上げました。
同じ作業暦は、6〜7年生までの若い木は軽いせん定にとどめ、実がなり始めるのを遅らせないようにとも書いています。
夏以降に柚子をバッサリ剪定すると、来年実がつく枝まで切る


夏に大きく切るのを控えたいのは、春と夏に伸びた枝が、翌年に実をつける枝になるからです。
岩手県の成果書の原文は「夏以降」で、月までは書いていないため、この記事では7〜8月ごろを目安にしています。
春と夏に伸びた枝が、翌年に実をつける枝になる
結果母枝(けっかぼし)は、翌年に花が咲き、実がつく枝のことです。
柚子の結果母枝について、岩手県の成果書は夏の剪定とあわせて次のように書いています。
せん定後伸長した春枝、夏枝が翌年の結果母枝になるため、夏以降のせん定は徒長枝の除去程度にとどめる。
出典:岩手県農業研究センター「ユズ既存樹のせん定による樹形改善が収量および収穫効率に与える影響」(平成28年度試験研究成果書)
春枝・夏枝(はるえだ・なつえだ)は、その年の春と夏に新しく伸びた枝のこと。
新しい枝が1年に何回伸びるかは、地域によっても違います。
| 地域 | 新しい枝の伸び方 |
| 主産地(高知県) | 年3回(春枝・夏枝・秋枝) |
|---|---|
| 陸前高田市 (北限のゆず) |
年2回(秋枝はあまり伸びない) |
成果書の理屈でいえば、夏以降(7〜8月ごろ)に太い枝ごと切ると、翌年の結果母枝になる枝までまとめて落とすことになります。
夏に「いっそバッサリ」と思い立っても、高さを下げる作業は次の春まで待つほうが、来年の実を残せる進め方です。
夏に切るのは、上へ勢いよく伸びた徒長枝だけに
徒長枝(とちょうし)は、上へまっすぐ勢いよく伸びた枝のことです。
夏以降の剪定で岩手県の成果書が認めているのは、この徒長枝を取り除く程度まで。
成果書の図にも、目標の高さを保つように徒長枝などを整理する手入れが描かれています。
| 夏以降(7〜8月 ごろ)の作業 |
成果書に沿った判断 |
| 上へ伸びた徒長枝を 取り除く |
取り除く程度ならよい |
|---|---|
| 主枝を切り下げて 高さを下げる |
春の剪定の時期に回す |
| 混んだ枝をまとめて 間引く |
春の剪定の時期に回す |
一方で、徳島県の資料には、病気の主枝を切り替えるときに徒長枝を新しい主枝として育てる方法も載っています。
夏は、高さを乱す徒長枝だけを取り、それ以外は春に回しましょう。主枝の切り下げや間引きは、春の剪定の時期にまとめて行えば、来年の結果母枝を残せます。地域ごとの月は柚子の剪定の時期は春、寒い地域と暖かい地域で月が違うで比べました。
梅雨どきの6〜7月は、切り口の幹腐病に気をつけたい
幹腐病(みきぐされびょう)は、枝や幹がすり鉢状にくぼみ、木の中まで腐り込む病気で、資料での病名は「カンキツ幹腐病」です(ユズでの発生を調べた徳島県の資料)。
徳島県立農林水産総合技術支援センター果樹研究所の資料(2007年)は、病原菌の入り口を次のように説明しています。
子のう盤からは子のう胞子が飛散し、それが剪定痕や棘の刺し傷など何らかの傷口、または新芽が出た部位の樹皮の亀裂などから感染すると考えられる。
出典:徳島県立農林水産総合技術支援センター果樹研究所「ユズにおける『カンキツ幹腐病』の発生生態と防除対策」(2007年3月)
剪定痕は、剪定でできた切り口のことです。
| 時期 | 資料の記述 |
| 4月下旬頃から | 胞子が飛び始める |
|---|---|
| 6月下旬〜 7月上旬頃 |
飛ぶ量が多い時期(梅雨期) |
| 5〜10月 | ユズに感染する時期 (特に6月・7月に多い) |
同じ資料によれば、幹腐病は樹勢低下によって発生が助長される病気です。
資料そのものは、剪定の時期を決めたものではありません。
それでも、梅雨どきに太い枝を切って大きな切り口を作るのは、避けておきたい組み合わせと読めます。
柚子の実が減ったのは、バッサリ剪定のせいとは限らない


柚子はもともと年によって実の量が大きく変わる木で、切った翌年に実が減っても、原因が剪定だけとは決められません。
柚子は、実の多い年と少ない年をくり返しやすい
隔年結果(かくねんけっか)は、実の多い年と少ない年を交互にくり返す性質のこと。
山口県の栽培指針は、柚子のこの性質について、摘果とあわせて次のように書いています。
かんきつの中で、ゆずは隔年結果が最も大きいグループであるため、着花(果)過多樹は、摘蕾及び青玉果採収以前の早期摘果を励行する。
柑橘の中でも、柚子は隔年結果がとくに大きい種類というわけです。
| 資料 | 隔年結果についての記述 |
| 山口県の栽培指針 | かんきつの中で、ゆずは隔年結果が大きいグループ |
|---|---|
| 岩手県農業 研究センター |
隔年結果性が強く、年により収量が大きく変動する場合がある |
| 福岡県農業 総合試験場 (昭和58〜平成2年 の試験) |
ユズは隔年結果性の強い系統が多い |
実の多い年を表年(おもてどし)、少ない年を裏年(うらどし)と呼ぶこともあります。
前の年にたくさん実がなった柚子は、剪定をしてもしなくても、次の年に実が少なくなることがある木です。
低くした試験樹でも、収量は年ごとに大きく上下した
岩手県の試験でも、樹形を改善した木の収量は、年ごとに大きく上がったり下がったりしています。
| 年度 | 樹形を改善した木 | 切らなかった木 |
| 平成25年度 | 33.4kg | 29.1kg |
|---|---|---|
| 平成26年度 | 181.9kg | 29.0kg |
| 平成27年度 | 39.6kg | 62.1kg |
| 平成28年度 | 147.8kg | 14.2kg |
樹形を改善した木は、多い年と少ない年が交互に来ており、切らなかった木も年によって上下しています。
成果書のまとめも、樹形を改善した木は無せん定の木より収量が増加した、という結論です。
ただしこの木は、年1m程度ずつ段階的に下げた試験の木で、一度に大きく切った木の記録とは違います。
この表は「バッサリ切っても実がなる」ことを示すものではありません。少しずつ下げた木でも、実の量は年ごとに大きく変わる、ということを示す記録として読みましょう。
実が減った年は、切った時期と量もふり返ってみる
切った量と実の量の関係を数字で示した資料は、この記事で使った中にはありません。
そのうえで、実が減った年は、次の3つに当てはまるかを順にふり返ると、原因の見当がつけやすくなります。
| ふり返ること | 関係する資料の記述 |
| 前の年に実が 多かった |
ユズは隔年結果が大きい・強い(山口・岩手) |
|---|---|
| 夏以降に大きく 切った |
春枝・夏枝が翌年の結果母枝になる(岩手) |
| 切る量が 多すぎた |
せん定量が過度になると樹勢が低下する(山口) |
1つめだけが当てはまる場合は、剪定よりも隔年結果の影響が考えられます。
2つめや3つめに心当たりがある人は、次の春の剪定を、年1m程度の切り下げと間引き中心に戻してみましょう。
トゲのある高い柚子を、脚立でバッサリ剪定するのは避けたい


トゲが多く、背が高く、電線に近い柚子は、自分で切る範囲と人に任せる範囲を先に分けておきたい木です。
柚子は長いトゲが多く、剪定に手間がかかる
柚子の剪定が進まない理由のひとつが、枝についた長いトゲです。
トゲの少ない新品種’鬼北の香里’を紹介した愛媛県のみかん研究所の資料も、在来のユズの課題を次のように挙げています。
ユズはトゲの発生が多くかつ長いため、収穫、剪定等の作業性が低いとともに、果実に傷がつき商品性を低下させる問題を抱えている。
作業性が低いとは、手間がかかって作業がはかどらないということです。
徳島県の資料は、幹腐病の菌が入る傷口の例として、剪定痕と並べて棘の刺し傷も挙げています。
トゲのある枝を切るときは、厚手の手袋と長袖で手や腕を守りましょう。地面から届く枝は自分で整え、トゲの間に腕を差し込まないと届かない上の枝は、無理に一度で片づけないのがコツです。
高い枝を脚立で切る作業は、一人でしない
柚子を低くする作業は年1m程度ずつ続くので、そのたびに脚立の上での作業がついて回ります。
脚立やはしごからの転落事故は、医療機関ネットワークに433件寄せられていました(国民生活センター・2019年公表)。
件数は、2010年12月以降2019年2月末までに伝送された、20歳以上の事故を精査したものです。
屋外での事故が約8割を占め、特に庭木の手入れ中の事故が目立っています。
同じ資料は、脚立やはしごを使わない方法の検討と、一人きりで作業しないことを呼びかけています。
| 資料の呼びかけ | 柚子の剪定に当てはめると |
| 脚立やはしごを 使用しない 方法を検討 |
地面から届く枝と徒長枝だけを自分で切り、上の枝は見積もりを取る |
|---|---|
| 一人きりでの 作業はやめる |
脚立を押さえる人がいる日に作業する |
柚子の上の枝は、トゲをよけながら手を伸ばす作業になるため、脚立に上るときは一人きりを避けましょう。
枝が電線に触れていたら、切る前に電力会社へ
伸びた柚子の枝が電線に触れているときは、自分で切る前に電力会社へ連絡します。
樹木が電線に接触しているような場合は、ご自分で剪定・伐採されずに、お近くの九州電力送配電にご連絡ください。
電線を管理する九州電力送配電のような会社を、送配電事業者(そうはいでんじぎょうしゃ)と呼びます。
九州以外に住んでいる人は、住んでいる地域の送配電事業者に問い合わせましょう。
電線にかからない枝の剪定や、木ごと切る伐採(ばっさい:木を根元から切り倒すこと)は、業者の見積もりで相談できます。電線にかかる枝は送配電事業者、それ以外の枝は業者、と分けて伝えるのが近道。
自分で下げきれない柚子は、伐採110番で見積もりを取る


高くなった柚子を任せる先は、1本から頼めるか、剪定まで相談できるか、高い所に対応しているかの3つで選ぶのが目安。
- 庭木1本だけでも頼める
- 剪定などお庭全般も相談できる
- 高くて手の届かない場所にも対応
伐採110番の公式サイトとよくある質問には、この3つにあたる内容がそろって載っています。
実のなる木や大きくなりすぎる木を残すか切るかは、庭に植えてはいけない木と、剪定か伐採かの決め方でも整理しました。
脚立が届かない柚子も、1本から相談できる
伐採110番は、庭木1本からの伐採・抜根に対応している相談窓口です。
抜根(ばっこん)は、切り株と根を掘り出す作業を指します。
公式サイトの案内では、高くて手の届かない場所や危険な場所の作業にも対応しているとのこと。
伐採110番は、脚立が届かないほど伸びた柚子を、切り下げるか伐採するか相談したい人に向いています。運営はシェアリングテクノロジー株式会社。条件に合う加盟店(かめいてん:伐採110番と提携して実際に作業する業者)を紹介する仕組みです。
公式サイトによると、伐採110番は請負賠償保険にも加入しています。
請負賠償保険(うけおいばいしょうほけん)は、作業中の事故で他人に損害を与えたときに備える保険です。
一方で、エリアや加盟店によっては記載の価格や条件で対応できない場合がある、という注意書きもあります。
見積もりのとき、剪定と伐採のどちらが合うか聞く
伐採110番は、公式のよくある質問で、伐採だけでなく剪定などお庭全般の困りごとも引き受けると答えています。
ただし、柚子の剪定に対応できるかや剪定の料金は、公式サイトには書かれていません。
- 柚子の剪定まで頼めるか
- 切り下げと伐採のどちらが合うか
- 切った枝の片づけが費用に入るか
伝える側は、木の高さ、トゲで手が入らない部分、電線や屋根との距離をそろえておくと、話が早く進みます。
植木屋や造園会社など、頼み先の種類ごとの違いは庭木の伐採業者の頼み先4種類と、伐採か剪定かの選び方で比べました。
切り下げで残すか伐採するかも問い合わせで聞いておけば、費用と手間の両方を見て、柚子を残すかどうかを考えやすくなります。
伐採の料金は表で、剪定の料金は見積もりで確かめる
伐採110番の料金と条件は、公式サイトで次のように案内されています。
| 項目 | 伐採110番の公式サイトの記載 |
| 伐採の料金 | 8,200円~/本(税込) |
|---|---|
| 金額の決まり方 | 木の高さ・幹の太さ・作業の難しさで見積もり |
| 剪定の料金 | 公式サイトに記載なし(見積もりで確認) |
| 頼める作業 | 1本からの伐採・抜根、剪定などお庭全般 |
| 相談 | 相談は無料 |
| 調査・見積もり | エリア・加盟店・現場の状況により、費用がかかる場合あり |
| 注意点 | エリア・加盟店により、記載の価格や条件で対応できない場合あり |
表の金額は伐採1本あたりの目安で、柚子を切り下げて残す場合の費用は、見積もりの中身で確かめることになります。
- 脚立に乗らないと実に手が届かない人は、高さを伝えて見積もり
- トゲが怖くて上の枝に手を出せない人は、剪定を頼めるか相談
- 屋根や隣の家に枝がかかっている人は、切り下げか伐採かを確認
- いっそ切り倒すか迷っている人は、伐採と抜根の見積もり
- どれか決めきれない人も、庭木1本から相談できて高い場所の作業にも対応している伐採110番に相談
柚子の上の枝は、トゲをよけながら脚立の上で切ることになり、国民生活センターも一人きりの作業をやめるよう呼びかけています。
自分で下げきれない柚子は、切り下げと伐採のどちらが合うかは、伐採110番に問い合わせて確かめられる内容です。
調査・見積もりに費用がかかるかを最初に確かめ、作業の中身と費用を聞いてから頼むかどうかを決めても遅くありません。
\ 脚立が届かない庭木も1本から相談できる /
柚子をバッサリ剪定する前のQ&A


柚子の剪定とバッサリ切ることについて、出てきやすい疑問に短く答えます。
柚子を一度に低く切ると、木が枯れることはありますか?
一度に大きく切った柚子が枯れるかどうかを確かめた資料はなく、枯れるとも大丈夫とも言い切れません。山口県の栽培指針はせん定量が過度だと樹勢が低下するとし、岩手県の試験は強せん定を避けて年1m程度ずつ下げています。資料ごとの記述は切る量が多すぎると、柚子の木の勢いが落ちやすいにまとめました。
柚子の強剪定は、何月にするのがいいですか?
強剪定に向く月を示した資料は、この記事で使った中にはありません。剪定の時期は岩手県の試験で4〜5月、山口県の栽培指針で2月下旬〜3月下旬で、岩手県は強剪定そのものを避けています。地域ごとの違いは柚子の剪定の時期は春、寒い地域と暖かい地域で月が違うで比べました。
8月に柚子の剪定をしてしまったら、来年の実はどうなりますか?
岩手県の成果書は、春枝・夏枝が翌年の結果母枝になるため、夏以降は徒長枝の除去程度にとどめるという立場です。8月に太い枝ごと切った場合は、翌年に実をつける枝も減っている可能性があります。ただ柚子は隔年結果も大きいため、実が減った年は、切った時期と量もふり返ってみるの表で見当をつけましょう。
柚子の徒長枝は、全部切ってしまってもいいですか?
夏以降の剪定として岩手県の成果書が認めているのは、徒長枝を取り除く程度までで、目標の高さを乱す徒長枝は整理の対象です。一方で徳島県の資料には、病気の主枝を切り替えるときに徒長枝を新しい主枝として育てる方法も載っています。夏の扱いは夏に切るのは、上へ勢いよく伸びた徒長枝だけにで解説しました。
柚子の高さは、どのくらいまで下げればいいですか?
岩手県の試験は目標の高さを3〜4mとし、6〜8mの木を年1m程度ずつ下げる方法でした。これは陸前高田市の試験の目標値で、庭の広さや屋根との距離によってちょうどよい高さは変わります。詳しくは目標の高さは3〜4m、真ん中が開いた形に近づけるで取り上げました。
柚子のトゲが痛くて剪定が進まないときは、どうすればいいですか?
愛媛県のみかん研究所の資料も、ユズはトゲが多くて長いため、剪定などの作業性が低いとしています。厚手の手袋と長袖で手や腕を守り、地面から届く枝だけを自分で切る進め方なら無理がありません。上の枝の扱いは高い枝を脚立で切る作業は、一人でしないで触れています。
柚子の大きな切り口は、そのままにしておいてもいいですか?
岩手県のマニュアルは、枯れ込みを防ぐため、大きな切り口にはゆ合促進剤を塗るとしています。徳島県の資料も、剪定痕などの傷口から幹腐病の菌が入ると考えられるとしており、切り口は放っておかないほうが無難です。手順は太い枝の切り口には、ゆ合促進剤を塗っておくで紹介しています。
植えて数年の若い柚子も、同じように切っていいですか?
山口県の栽培指針の作業暦は、6〜7年生までは軽いせん定にとどめ、実がなり始めるのを遅らせないようにとしています。主枝の切り下げは、大きく育ちすぎた木を低くするための方法です。時期と切り方は花が多くつきそうな年は早め、少なそうな年は遅めににまとめました。
柚子の実がたくさんついた年に、しておくことはありますか?
山口県の栽培指針は、花や実がつきすぎた柚子の木には、摘蕾(てきらい)や早めの摘果(てきか)をするよう勧めています。どちらも、つぼみや若い実を減らして数を調える作業のこと。着果過多は隔年結果を誘発するとも書かれており、背景は柚子は、実の多い年と少ない年をくり返しやすいで解説しています。
柚子の剪定か伐採か、伐採110番に相談してから決められますか?
伐採110番は、公式のよくある質問で、伐採だけでなく剪定などお庭全般の困りごとを引き受けると答えています。ただ、柚子の剪定に対応できるかや剪定の料金は、公式サイトに書かれていません。見積もりで聞きたいことは、見積もりのとき、剪定と伐採のどちらが合うか聞くに並べました。
まとめ:柚子はバッサリ剪定より、年1mずつ低くしていこう


柚子の剪定は、一度にバッサリ切らずに年1m程度ずつ低くするのが、岩手県の試験に沿った進め方です。
切り方は、主枝の切り下げと混んだ枝の間引きの組み合わせ。
次の春は、地面から届く範囲の混んだ枝と徒長枝から手をつけ、翌年の実のつき方を見てから次の1mを決めていけば十分です。
実の少ない年があっても、柚子は隔年結果の大きい木なので、切り方のせいと決めつけずに次の年まで様子を見ましょう。



来年の春、まずは1mだけ下げてみよう。
ただ、脚立に上らないと届かない柚子は、切り下げのたびにトゲの多い高い枝と毎年向き合うことになるのが難点です。
低くするのに何年もかけられない柚子は、伐採110番に高さとトゲの具合を伝えてみませんか。
切り下げで済むのか、伐採が合うのかも、問い合わせて確かめられます。
\ 高い所の庭木も、まずは相談から /
- 岩手県農業研究センター「ユズ既存樹のせん定による樹形改善が収量および収穫効率に与える影響」(平成28年度試験研究成果書)
- 岩手県農業研究センターほか「ユズの加工利用を促進する安定生産技術とブランド新商品の開発マニュアル」(2018年2月)
- 山口県「香酸柑きつ(長門ゆずきち・ゆず)」栽培指針
- 徳島県立農林水産総合技術支援センター果樹研究所「ユズにおける『カンキツ幹腐病』の発生生態と防除対策」(2007年3月)
- 愛媛県みかん研究所「ユズ新品種’鬼北の香里’の特性及びウイルスフリー化」
- 福岡県農業総合試験場「ユズの導入系統の特性」
- 国民生活センター「思わぬ大けがに!高齢者の脚立・はしごからの転落」
- 九州電力送配電「送配電線近くでの作業は感電にご注意ください」

