もん吉屋根まで届いた梅、バッサリ切って低くしたい…。
この記事では、大きくなった梅をバッサリ剪定して低くしてよいかと、切る時期・残す枝を解説します。
実梅の産地の成果情報には、主枝を大きく切り下げた木の収量が、処理後2年間に約45%減るとの記述も。
- 1回のバッサリで高さを下げるのは避けたい
- 高さは数年に分けて少しずつ下げる(この記事のすすめ方)
- 切る時期は葉が落ちてから冬の初めが中心
- 花芽がつく短い枝は残す
- 脚立が要る高さの梅は、庭木1本から相談できて高い場所の作業にも対応している伐採110番に問い合わせ
和歌山県の成果情報は、主枝を大きく切り下げると徒長枝が多く出て、実のつく数が減る傾向が強いとしています。
一方で、軽い剪定ばかり続けた実梅も樹勢が落ちて実が減っており、切らずに放っておけば済むわけでもありません。
脚立が要る高さの梅は、一度に切り下げる前に、伐採110番に梅の剪定まで頼めるかを問い合わせられます。
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案内・リンク確認日:2026年10月3日
梅を低くするバッサリ剪定は、1回で下げず数年に分ける


実梅の成果情報には、一度に大きく切り下げた木は2年ほど実が減るとの記述があり、軽く切るだけの年が続いた実梅も、少しずつ実が減っていました。
大きく切り下げた翌年は、徒長枝が多く伸びてくる
主枝(しゅし)は、幹から出て木の骨組みになる太い枝のこと。
その主枝を低い位置まで切って木の背を下げる剪定(せんてい)を、果樹の試験では「カットバック」と呼びます。
実梅の産地、和歌山県のうめ研究所は、この切り方の難しさを次のように説明しました。
この処理では主枝を大きく切り下げるため、それに伴って徒長枝が多く発生し着果数が減少する傾向が強くなります。
出典:和歌山県果樹試験場うめ研究所「ウメ‘南高’のカットバックおよび摘心処理による青梅生産性の向上」(令和2年度成果情報)
徒長枝(とちょうし)は、上や外へ勢いよく長く伸びる枝のことです。
徳島県のウメ衰弱症対策のレポートも、一般にせん定を強くすると、次の年に枝がよく伸びると説明しています。
バッサリ切った翌年に長い枝が何本も立つのは、木が弱ったしるしとは限りません。徳島県のレポートでは、健全な梅の木には1m以上の徒長枝が多く出るとされています。どちらも実梅の産地の資料で、庭の花梅に当てはめるのはこの記事の読み取りです。
実梅の資料には、切り下げてから2年ほど実が減るとある
和歌山県の成果情報は、樹高約4mの実梅「南高」(なんこう:実梅の品種)の14年生で、切り下げの方法を試したもの。
その成果情報には、カットバックをした木(カットバック処理樹)の収量について、次の1文が載っていました。
カットバック処理樹では、他の樹種でも報告があるように処理後2年間は収量が約45%減少します。
出典:和歌山県果樹試験場うめ研究所「ウメ‘南高’のカットバックおよび摘心処理による青梅生産性の向上」(令和2年度成果情報)
「他の樹種でも報告があるように」と前置きした記述で、元になったデータは成果情報に示されていないもの。
14年生の試験の木で測った数字だとも、何と比べて約45%なのかも、本文には書かれていません。
| 項目 | 成果情報の記述 |
| 対象 | カットバック処理樹 |
|---|---|
| 減る期間 | 処理後2年間 |
| 減り方 | 収量が約45%減少 |
| 前置き | 「他の樹種でも報告があるように」 |
庭の花梅は品種も育て方も違うため、同じ数字になるとは限りません。
バッサリ切ると、実が2年ほど減るかもしれないと見込んでおくのが妥当な読み方です。これは実梅の成果情報の記述を庭の梅に当てはめた、この記事の読み取り。花を楽しむ梅でも、切り下げで花のつく枝が減る可能性はあります。
低くした試験の木は、作業時間が短くなった
同じ成果情報は、カットバックで樹高が下がると、作業時間が短くなる点も挙げています。
カットバックと摘心を組み合わせた木では、処理4年目までの作業時間が、慣行の木の70%でした。
慣行の木とは、ふだんどおりに管理した比較用の木を指します。
| 低くしたあと | 成果情報の記述 |
| よい面 | 樹高が下がり、作業時間が短くなる |
|---|---|
| 気になる面 | 樹容積と結果枝の量が減り、収量が下がる |
| 長く続けたとき | 5年目ごろは結果枝が茂り、4〜5年に一度は整理が要る |
結果枝(けっかし)は花が咲いて実がつく枝、樹容積(じゅようせき)は枝葉が広がる部分の大きさを指します。
作業のしやすさだけを見れば、梅を低くすることにははっきりした意味があり、問題は下げ方のほう。
一度に下げると結果枝もまとめて減るため、次の章では、この記事のすすめる少しずつ下げる進め方を取り上げます。
軽く切るだけの年が続いた実梅も、実が減っていった
切りすぎが心配だからといって、軽く切るだけで済ませればよいわけでもありません。
和歌山県のうめ研究所は、平成20年度(2008年度)に、28年生の「南高」で剪定の強さを比べています。
4年間、間引き主体の弱剪定を行った「南高」ウメ樹は、当初の収量は多いが、樹勢低下のため、次第に収量が減少する。
出典:和歌山県果樹試験場うめ研究所「連年の弱剪定がウメ「南高」の樹体生育と収量に及ぼす影響」(平成20年度研究成果情報)
樹勢(じゅせい)は、木の勢いのこと。
| 試験区 | 切り方 | 結果 |
| 強剪定 | 主枝や側枝などの先端の多くを切り返す | 徒長枝が多く、樹冠が広がる |
|---|---|---|
| 弱剪定 | 切り返しは主枝・亜主枝の先端だけ | 当初は実が多いが、次第に減る |
徳島県のレポートも、弱いせん定を毎年続けると、徒長枝の伸びが極端に少なくなって樹勢が落ちるとしています。
この試験の強剪定は、枝先を多めに切り返す毎年の剪定で、主枝ごと下げる「バッサリ」とは別物です。切らなさすぎても実が減り、一度に下げても実が減るとの記述がある。その間をとる進め方として、この記事は数年に分けて下げる方法をすすめます(この記事で確認した梅の資料に、この方法の記述はありません)。
梅の高さを下げる剪定は、毎年の伸びを見て少しずつ進める


この記事で確認した梅の資料に「何年で何m下げる」という目安はなく、伸びを見ながら数年に分けて下げるのは、この記事のすすめ方です。
切る強さは、その年に伸びた枝の量で変える
新梢(しんしょう)は、その年に新しく伸びた枝のこと。
徳島県のウメ衰弱症対策のレポートは、毎年の剪定の強さを次のように決めるとしています。
毎年のせん定の強さはその年の新梢伸長量をみて、伸長量が前年に比べて少なくなっているようなら強めのせん定、徒長枝の発生が多すぎるようなら、前年より弱めのせん定にして調節する。
このレポートは、衰弱症が出た実梅の産地に向けてまとめられたものです。
| 資料 | 書かれていること | この記事での読み取り |
| 和歌山県の 成果情報 |
カットバック処理樹は、処理後2年間に収量が約45%減少するとの記述 | 一度に下げず、年を分ける |
|---|---|---|
| 徳島県の レポート |
剪定の強さは、その年の新梢の伸びで調節 | 毎年の伸びを見て、次の量を決める |
1年にどれだけ下げるかの数字は、この記事で確認した梅の資料には見当たりません。
伸びが少ない年は強めに、長い枝が出すぎた年は弱めに切り、翌年の量をその都度決めていきます。
和歌山の試験では、春に摘心してから秋冬に切り下げた
摘心(てきしん)は、伸びている枝の先を摘んで、それ以上伸びないようにすること。
和歌山県の試験は、切り下げで減る実を補うために、摘心とカットバックを組み合わせました。
成果情報が示している順番は、次のとおりです。
‘南高’成木にカットバック処理と摘心処理を導入する場合、まず春季に摘心処理を行い、翌年の結果枝を確保します。
出典:和歌山県果樹試験場うめ研究所「ウメ‘南高’のカットバックおよび摘心処理による青梅生産性の向上」(令和2年度成果情報)
そのうえで、同じ年の秋冬にカットバックをする、という順番。
| 時期 | 作業 | ねらい |
| 春 | 摘心 | 翌年の結果枝を確保する |
|---|---|---|
| 同じ年の秋冬 | カットバック | 樹高を下げる |
| 4〜5年に一度 | 結果枝の層の整理 | 茂りすぎた結果枝を整える |
この順番で処理した木は、処理4年目に処理前の約160%の収量になりました(n=3の試験)。
これは果樹園の実梅で試された方法の一例で、庭の梅で同じ結果になるとは限りません。和歌山の方法は、春の摘心を先に済ませてから1回カットバックする方式で、何年かに分けて下げる方法ではない点にも注意。参考にするなら、切り下げる年の春に枝先を摘んで、翌年の実がつく枝を先に残しておく、という順番の考え方まで。
いらない徒長枝は、付け根から切り取る
この記事の整理では、切り下げた翌年に伸びた徒長枝は、切り取る枝と残す枝の2種類。
徳島県のレポートは、樹全体のせん定として、不要な徒長枝を基部(付け根)から切り取るとしています。
どの枝が不要かの細かい基準までは、レポートには書かれていません。
| 長い枝の扱い | 資料の記述 |
| 付け根から 切り取る |
不要な徒長枝は基部から切り取る(徳島県) |
|---|---|
| 付け根側を残して 切り詰める |
長枝は基部を3分の1から半分残すと、翌年に短い枝が出る(樹木医の解説) |
| 夏に切る (実梅の産地) |
徒長枝は主に夏季せん定(8月)で切る(奈良県) |
残す長い枝の切り方は、花芽を増やしたいときの方法として長い枝は、付け根側の3分の1〜半分を残して切るで取り上げます。
樹種が違えば考え方も変わり、松については松の剪定でバッサリは控えたい理由と、葉を残して整える方法で別にまとめました。
柚子の高さの下げ方は、柚子の剪定はバッサリより年1mずつ低くする進め方で紹介しています。
バッサリ剪定した梅に花が咲かない?花芽は短い枝につく


梅の花芽は短い枝にできるため、大きく切り下げて実のつく枝(結果枝)が減れば、翌年の花も減ると考えられます。
翌年の花芽は、7〜8月ごろ短い枝にできる
花芽(はなめ)は、翌年に花になる芽のこと。
庭木の梅について、日本樹木医会富山県支部の樹木医は、花芽のでき方を次のように解説しています。
翌年の花となる花芽は、7~8月頃になると短枝に形成され、長枝にはほとんどつきません。
出典:日本樹木医会富山県支部(樹木医 西村正史)「庭木に利用する樹種の特徴と管理~ウメ~」(富山県中央植物園『花緑だより』218号・2021年1月)
短枝(たんし)は短い枝、長枝(ちょうし)は長く伸びた枝を指します。
| 資料 | 花芽ができる時期の書き方 |
| 樹木医の解説 (2021年) |
7〜8月頃、短枝にできる |
|---|---|
| 奈良県 | 前年の夏から秋頃に発達が始まる |
| 和歌山県 うめ研究所 |
7月中旬(花芽分化開始期) |
花芽分化(かがぶんか)は、芽の中で花のもとができ始めること。
夏に枝を大きく減らすと何が起きるかは、夏に葉を大きく減らすと、来年の花芽に響くで触れます。
長く伸びた徒長枝には、花芽がつきにくい
樹木医の解説では、花芽は長枝にはほとんどつかないとされています。
一方、宮崎県総合農業試験場の試験では、「南高」の50〜150cmの徒長枝にも花がつきました。
| 「南高」の 徒長枝の長さ |
1cmあたりの花の数 |
| 50〜80cm | 0.35個 |
|---|---|
| 80〜120cm | 0.28個 |
| 120〜150cm | 0.15個 |
短い徒長枝ほど1cmあたりの花が多く、長いほど少ない、という結果です。
この試験は、実梅「露茜」の受粉用に「南高」の徒長枝を使うためのもので、庭木の手入れを調べた試験ではない点に注意。
「徒長枝には花がつかない」とまでは言い切れません。実梅の「南高」では徒長枝にも花がつき、長い枝ほど1cmあたりの花が少ない、というのが宮崎県の試験の結果です。庭の花梅でも同じかは確かめられていないため、花を増やしたい人は短い枝を残すほうに重きを置きましょう。
長い枝は、付け根側の3分の1〜半分を残して切る
樹木医の解説は、落葉後から初冬の剪定で、長い枝をどこで切るかも示していました。
長枝では、この時期に基部を3分の1から半分を残しておくと、翌年には残した基部から新しい短枝が発生し、葉腋に花芽をつけます。
出典:日本樹木医会富山県支部(樹木医 西村正史)「庭木に利用する樹種の特徴と管理~ウメ~」(富山県中央植物園『花緑だより』218号・2021年1月)
葉腋(ようえき)は、葉の付け根のこと。
付け根側を残して切れば、翌年はそこから花芽のつく短い枝が出る、という流れです。
| 切り方 | 目的 | 資料 |
| 付け根側を 3分の1〜半分残す |
翌年、花芽のつく短い枝を出す | 樹木医の解説 |
|---|---|---|
| 付け根から 切り取る |
不要な徒長枝を減らす | 徳島県 |
これは花芽を増やすための切り方で、木の背を下げる切り下げとは目的が違います。
日が当たらず湿った場所の梅も、花芽がつきにくい
花が少ない原因は、剪定だけとは限りません。
梅を植える場所については、樹木医の解説に次の一文が見られました。
日陰で湿気が多い場所では、徒長枝が多くなり、花芽もつきにくくなるので避けます。
出典:日本樹木医会富山県支部(樹木医 西村正史)「庭木に利用する樹種の特徴と管理~ウメ~」(富山県中央植物園『花緑だより』218号・2021年1月)
福井県農業試験場も、実梅の「福太夫」で、樹冠の内側が暗くなると日照不足で花芽が減るとしています。
樹冠(じゅかん)は、枝葉が茂っている部分全体のこと。
| 花芽がつきにくい条件 | 資料 |
| 日陰で湿気が多い場所 | 樹木医の解説 |
|---|---|
| 枝が混んで 樹冠の内側が暗い |
福井県(実梅「福太夫」) |
| 長く伸びた枝ばかり | 樹木医の解説(宮崎県の試験では、長いほど1cmあたりの花が少ない) |
切っても花が増えない梅は、日当たりと枝の混み具合も見直してみましょう。
梅の剪定はいつ?葉が落ちてから冬の初めが中心


樹木医の解説は剪定の時期を「落葉後から初冬」とし、月では書いていないため、葉が落ちた時期を目安にします。
| 時期 | 切り方 | 資料 |
| 落葉後〜初冬 | 剪定の中心 | 樹木医の解説 |
|---|---|---|
| つぼみが ふくらんだ後 |
切るとつぼみが落ちる | JA尾張中央 |
| 花が終わり 葉芽が開く前 |
切ってもよい | 樹木医の解説 |
| 夏 | 長い枝を詰める・混んだ枝を間引く程度 | 樹木医の解説 |
つぼみがふくらんでから切ると、つぼみが落ちる
冬のうちでも、切る時期が遅れると花を落とすことに。
愛知県のJA尾張中央の営農技術指導員は、果樹の整枝せん定の解説で、ウメについて次のように述べました。
ウメ・モモなどは、蕾が膨らんでからせん定すると、つぼみがポロポロ欠け落ちます。
つぼみがふくらむ月は資料に書かれていないため、この記事でも月では区切りません。
| 冬の剪定で見るところ | 切ってよい目安 |
| 葉 | 落ちている(落葉後) |
|---|---|
| つぼみ | まだふくらんでいない |
樹木医の解説は時期を落葉後から初冬とし、JA尾張中央は、つぼみがふくらんでからのせん定でつぼみが欠け落ちる例を挙げています。
2つを合わせると、遅くともつぼみがふくらむ前までに済ませたい、と読めます(この記事の読み取り)。
花が終わったら、葉芽が開く前までは切れる
葉芽(はめ)は、葉や枝になる芽のこと。
樹木医の解説は、落葉後から初冬のほかに、花のあとの時期も挙げています。
花が咲き終わった段階で葉芽が展開する前でも可能です。
出典:日本樹木医会富山県支部(樹木医 西村正史)「庭木に利用する樹種の特徴と管理~ウメ~」(富山県中央植物園『花緑だより』218号・2021年1月)
葉芽が展開する前とは、新しい葉が開き始める前のこと。
冬に切りそびれた枝は、花を楽しんだあとに整える、という順番もとれるでしょう。
花のあとに切ると、その年の花の咲き方を見てから枝を選べる、というのがこの記事の考え。ただ、葉が開き始めてからの切りすぎは、このあと触れるとおり花芽づくりに響きます。
夏は長い枝を詰めて、混んだ枝を間引く程度に
夏の剪定の目的と程度について、樹木医の解説の書き方は次のとおり。
夏季剪定は、花芽ができる短い枝に十分な光と通風を与えるために、長枝を切り詰めたり、不要な枝を間引いたりする程度とします。
出典:日本樹木医会富山県支部(樹木医 西村正史)「庭木に利用する樹種の特徴と管理~ウメ~」(富山県中央植物園『花緑だより』218号・2021年1月)
間引き(まびき)は、混んだ所の枝を抜いて枝の数を減らす切り方です。
実梅の産地にも、夏季せん定(夏に行う軽い剪定)で徒長枝を切る例があります。
| 産地の資料 | 夏の作業 |
| 奈良県 | 徒長枝は主に夏季せん定(8月)で切る |
|---|---|
| 福井県 (実梅「福太夫」) |
7月下旬に、主枝・亜主枝の先端以外に出た1m以上の徒長枝を切る |
福井県の資料は、夏季せん定は樹勢を弱らせるため、毎年行うなら新梢を減らしすぎないよう注意しています。
夏に葉を大きく減らすと、来年の花芽に響く
夏にバッサリ切ると、枝と一緒に葉もまとめて減ることになります。
葉芽が開いたあとの剪定について、樹木医の解説は次のように注意しました。
それ以降の剪定は葉量の減少となり、ウメが葉量を増やそうとするので、花芽の形成に影響します。
出典:日本樹木医会富山県支部(樹木医 西村正史)「庭木に利用する樹種の特徴と管理~ウメ~」(富山県中央植物園『花緑だより』218号・2021年1月)
花芽ができるのは7〜8月ごろなので、その時期に葉を大きく減らすのは避けたい、というのがこの記事の読み取りです。
JA尾張中央の解説も、果樹全般の話として、花芽ができる時期の強いせん定は花芽をつきにくくするとしています。
徳島県のレポートによると梅は土の乾燥に弱く、夏に大きく切ったあとは水切れにも目を配りたいところ(夏の剪定後の水やりはレポートに書かれておらず、この記事の読み取り)。
樹木医の解説とJA尾張中央の注意を合わせて読むと、夏の「いっそバッサリ」は、来年の花をまとめて減らすおそれがあります。高さを下げる切り下げは、葉が落ちてからの時期に回しましょう。
梅のバッサリ剪定を自分でするのは、脚立なしで届く高さまで


脚立やはしごの上での庭木の手入れは転落事故が目立つため、自分で切るのは地面から届く枝までにしておきます。
脚立やはしごの転落は、約8割が家の外で起きている
国民生活センターは2019年、脚立やはしごからの転落事故433件を公表しました。
件数は医療機関ネットワークに寄せられた、2010年12月以降2019年2月末までの20歳以上の事故で、高齢者に向けた注意喚起の資料として、半数以上(236件)が60〜70歳代とされています。
事故が起きた場所についての記述は、次のとおり。
屋外での事故が約8割を占め、特に庭木の手入れ中の事故が目立っています。
同じ資料は、脚立やはしごを使わない方法の検討と、一人きりで作業しないことを呼びかけています。
| 資料の呼びかけ | 梅の剪定に当てはめると |
| 脚立やはしごを 使用しない 方法を検討 |
手の届く低い枝と徒長枝までを自分で切る |
|---|---|
| 一人きりでの 作業はやめる |
家族がそばにいる日に切る |
梅を低くする作業は数年続くため、高い梅ほど毎年脚立に上ることになりがちです。
4m以上に育つ実梅は、産地でも作業が危ないとされる
和歌山県の成果情報は、試験を始めた理由のひとつに、作業の危なさを挙げました。
‘南高’は、強樹勢で成木が樹高4.0m以上となり、青梅生産では脚立や木登り等が必要となるため、収穫等の作業時に危険を伴います。
出典:和歌山県果樹試験場うめ研究所「ウメ‘南高’のカットバックおよび摘心処理による青梅生産性の向上」(令和2年度成果情報)
熊本県の農業研究センター(1998年)も、立木仕立ての梅は脚立が要るため、作業中の落下の危険性が高いとしています。
| 資料 | 高さ・作業についての記述 |
| 和歌山県 (令和2年度) |
「南高」の成木は樹高4.0m以上、脚立や木登りが必要 |
|---|---|
| 熊本県 (1998年) |
立木仕立ては脚立が要り、作業中の落下の危険性が高い |
庭の梅がみな4mを超えるわけではなく、これは実梅の産地の話です。
それでも、脚立の上のほうまで上がらないと届かない梅は、自分で切る範囲を下の枝だけに絞るほうが無理がありません。
庭木を剪定で保つか伐採するかは、庭に植えてはいけない木と、植えたあとに剪定か伐採かを決める方法でも取り上げました。
電線に触れた枝を見つけたら、送配電事業者へ
梅の枝が電線にかかっているときは、自分で切らずに電線を管理する会社へ連絡します。
樹木が電線に接触しているような場合は、ご自分で剪定・伐採されずに、お近くの九州電力送配電にご連絡ください。
送配電事業者(そうはいでんじぎょうしゃ)は、九州電力送配電のように電線を管理する会社のこと。
九州以外に住んでいる人は、住んでいる地域の送配電事業者が問い合わせ先です。
電線にかかる枝と、それ以外の高い枝は、頼み先が分かれます。電線の枝は送配電事業者へ、それ以外の剪定や伐採(ばっさい:木を根元から切り倒すこと)は業者へ、という分け方。
手に負えない梅のバッサリ剪定は、伐採110番に相談できる


高くなった梅の相談先は、1本から頼めるか、剪定も相談できるか、高い場所に対応しているかの3つで選びます。
- 庭木1本だけでも頼める
- 剪定などお庭全般も相談できる
- 高くて手の届かない場所や危険な場所に対応
伐採110番は、この3つがいずれも公式サイトとよくある質問に載っている相談窓口です。
庭木1本からでも、高い場所の作業に対応している
伐採110番は、庭木1本からの伐採・抜根を受け付けている相談窓口です。
抜根(ばっこん)は、切り株と根を掘り出す作業を指します。
公式サイトによると、高くて手の届かない場所や危険な場所の作業にも対応しているとのこと。
伐採110番は、高くて手の届かない庭木を1本から相談できる窓口のひとつです。よくある質問では、伐採だけでなく剪定などお庭全般の困りごとも引き受けると回答。高い場所の作業に対応している点は、脚立に上りたくない人にとっての強みです。
実際の作業は、条件に合う加盟店(かめいてん:伐採110番と提携して作業する業者)が受け持ちます。
梅の剪定への対応と料金は、問い合わせで確かめる
一方で、梅の剪定に対応できるかと剪定の料金は、公式サイトには書かれていません。
エリアや加盟店によっては、記載の価格や条件で対応できない場合がある、という注意書きもあります。
- 梅の剪定まで頼めるか
- 高さを下げる剪定と伐採のどちらが合うか
- 調査・見積もりに費用がかかるか
伝えるときは、梅の高さ、電線や屋根との距離、実を採りたいかどうかをそろえておくと話が早く進みます。
植木屋や造園会社など、頼み先の種類ごとの違いは庭木の伐採業者の頼み先4種類と、伐採か剪定かの選び方で比べました。
自分で何年もかけて下げるのが難しい人は、高い場所にも対応している伐採110番に、梅の剪定まで頼めるかを聞くところから。
表にある料金の目安は、伐採1本あたりのもの
伐採110番の料金と条件は、公式サイトで次のように案内されています。
| 項目 | 伐採110番の公式サイトの記載 |
| 伐採の料金 | 8,200円~/本(税込) |
|---|---|
| 金額の決まり方 | 木の高さ・幹の太さ・作業の難しさで見積もり |
| 梅の剪定の料金 | 公式サイトに記載なし(問い合わせで確認) |
| 頼める作業 | 1本からの伐採・抜根、剪定などお庭全般 |
| 相談 | 相談は無料 |
| 調査・見積もり | 費用がかかる場合あり |
| 注意点 | エリア・加盟店により、記載の価格や条件で対応できない場合あり |
表の金額は伐採1本あたりの目安で、梅を低くして残す剪定の費用は、この表からは分かりません。
梅を残して低くしたいのか、切り倒してもよいのかを先に決めておくと、問い合わせで聞くことがはっきりするはずです。
産地でも作業が危ないとされる高さの梅は、庭木1本から相談でき、剪定か伐採かもあわせて聞けます。
\ 高い枝の梅も、庭木1本から相談できる /
梅のバッサリ剪定Q&A


梅を大きく切るときに出てきやすい疑問に、短く答えます。
梅は、バッサリ切りすぎると枯れることがありますか?
切りすぎで梅が枯れるかを確かめた資料は、この記事で使った中にはなく、枯れるとも枯れないとも言い切れません。徳島県のレポートが衰弱の原因として挙げるのは乾燥・弱いせん定・実のつけすぎで、梅は土の乾燥に弱いとされています。切り下げたあとの実の減り方は、実梅の資料には、切り下げてから2年ほど実が減るとあるにまとめました。
梅の剪定を冬にするとき、何月がいいか決まっていますか?
樹木医の解説は剪定の時期を「落葉後から初冬」としており、月では示していません。JA尾張中央は、つぼみがふくらんでからのせん定でつぼみが欠け落ちるとしており、2つを合わせると、葉が落ちてから遅くともつぼみがふくらむ前まで、と読めます(この記事の読み取り)。時期の考え方は、葉が落ちてから冬の初めが中心という剪定時期の章で解説しています。
梅を夏に大きく切ってしまったら、来年は花が咲きませんか?
咲かなくなるとまでは言い切れませんが、葉芽が開いたあとの剪定は葉が減り、花芽づくりに影響するというのが樹木医の解説です。花芽は7〜8月ごろ短い枝にできるため、夏に切った枝の分だけ来年の花が減ることはありうる、とこの記事では読んでいます。理由は夏に葉を大きく減らすと、来年の花芽に響くで取り上げました。
梅の徒長枝には、花がまったくつかないのですか?
樹木医の解説は長い枝には花芽がほとんどつかないとし、宮崎県の試験では「南高」の徒長枝にも花がつきました。ただし1cmあたりの花の数は、短い徒長枝ほど多いという結果です。2つの資料の違いは長く伸びた徒長枝には、花芽がつきにくいで比べています。
梅の花が散ったあと、葉が出る前でも枝を切れますか?
切れます。花が咲き終わって葉芽が開く前でも剪定は可能、というのが樹木医の解説です。葉が開いてからの扱いは花が終わったら、葉芽が開く前までは切れるで触れました。
花芽を切らないためには、梅のどの枝を残せばいいですか?
樹木医の解説では、翌年の花芽は7〜8月ごろに短い枝にできるため、まず短い枝を残すのが基本。長い枝は付け根側を3分の1〜半分残して切ると、翌年そこから花芽のつく短い枝が出るとされています。切り方は長い枝は、付け根側の3分の1〜半分を残して切るで紹介しました。
冬に切った梅から長い枝がたくさん出たら、どうすればいいですか?
徳島県のレポートは、徒長枝が多すぎる年は前年より弱めのせん定にして調節するとしています。夏は、長い枝を切り詰めたり混んだ枝を間引いたりする程度にとどめます(樹木医の解説)。強さの決め方は切る強さは、その年に伸びた枝の量で変えるにまとめました。
梅の実がならないのは、剪定のせいだけですか?
剪定だけとは限りません。実梅の成果情報には大きく切り下げた木の減収の記述があり、軽い剪定を続けた試験の木も実が減っています。日陰で湿った場所も花芽がつきにくいとされ、日が当たらず湿った場所の梅も、花芽がつきにくいで解説しました。
伐採110番で、梅の剪定の料金はわかりますか?
梅の剪定に対応できるかと剪定の料金は、伐採110番の公式サイトには書かれておらず、問い合わせで確かめることになります。公式サイトにある料金の目安は、伐採1本あたりのものです。表は表にある料金の目安は、伐採1本あたりのものに載せました。
梅の木1本だけでも、伐採110番に相談できますか?
公式のよくある質問では、1本からでも依頼できると案内されています。伐採だけでなく剪定などお庭全般の困りごとも引き受けるとしていますが、梅の剪定に対応できるかは問い合わせで確かめましょう。内容は庭木1本からでも、高い場所の作業に対応しているで紹介しています。
まとめ:梅のバッサリ剪定は、短い枝を残して数年で低くする


梅の剪定は、1回のバッサリで下げず、落葉後〜初冬に短い枝を残しながら、数年に分けて低くしていくのがこの記事のすすめ方です。
実梅の成果情報には、一度の大きな切り下げで2年ほど実が減るとの記述があり、試験では軽く切るだけの年が続いても実が減りました。
次の冬は、葉が落ちたら、地面から届く範囲の不要な徒長枝と混んだ枝から手をつけてみましょう。
翌年の夏に新しい枝がどれだけ伸びたかを見て、次の冬にどこまで下げるかを決めれば十分です。



この冬は、届く枝から少しずつ切ってみよう。
ただ、脚立に上らないと届かない梅は、その数年のあいだ、毎年同じ高さでの作業が続きます。
その数年を待てない高さの梅は、庭木1本から相談できる伐採110番に、高さと電線の位置を伝えてみませんか。
\ 庭木1本から、相談は無料 /
- 和歌山県果樹試験場うめ研究所「ウメ‘南高’のカットバックおよび摘心処理による青梅生産性の向上」(令和2年度成果情報)
- 和歌山県果樹試験場うめ研究所「連年の弱剪定がウメ「南高」の樹体生育と収量に及ぼす影響」(平成20年度研究成果情報)
- 徳島県 ウメ衰弱症対策のレポート
- 宮崎県総合農業試験場「ウメ「露茜」結実安定のための受粉樹「南高」の徒長枝利用」(令和2年度・農研機構掲載)
- 福井県農業試験場「ウメ‘福太夫’は新梢管理で熟度が揃う」(平成29年度)
- 奈良県「ウメづくりのポイント」
- 奈良県「ウメの花はいつ咲くか」
- 和歌山県果樹試験場うめ研究所 成果情報第15号(2022年2月)
- 熊本県農政部「農業の新しい技術」No.411(1998年6月)
- 国民生活センター「思わぬ大けがに!高齢者の脚立・はしごからの転落」
- 九州電力送配電「送配電線近くでの作業は感電にご注意ください」

